エンジェル を観ました。

2007年製作のイギリス・ベルギー・フランス合作映画。
フランソワ・オゾン監督作品です。
~~~~~~~~~~~~~~あらすじ~~~~~~~~~~~~~~
1900年代初頭の英国で田舎町に住むエンジェル・デヴェレルは
夢見がちな女の子でした。
町外れの大邸宅(その名もパラダイス・ハウス)を物陰から覗いては
そこに住んでいる自分を想像してうっとり。
実際には母一人子一人で、食料品店の二階に住んでいるのです。
彼女の妄想はどうにも止まらなくなって、自分を貴族の令嬢に見立てた
長編小説「レディ・イレニア」を書き上げて出版社に送りつけます。
それがある発行人の目に止まり、出版されることに!
彼女は一躍時代の寵児となり、ほしいままに富や名声を手に入れます。
妄想が現実となった今、彼女の勢いはとどまることを知らず
最愛の人にも巡り会い、順風満帆な人生のようでしたが。。。
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と、あらすじだけ見ると
よくある女の子のサクセスストーリーのようですが
これがまた
一筋縄ではいかないヒロインなのです。
このエンジェル嬢を言葉で表すと
嘘つき、傲慢、見栄っ張り、空気読めないと、とてもとても友達にはなりたくないワードがズラーリ!!
もちろん彼女に友達は
一人もいません。そんな娘のことが心配な母親。
たまたまパラダイス・ハウスで女中をしている姉の紹介で
「エンジェルもパラダイス・ハウスで女中として働いたらどうか」と提案します。
あんなにあのお屋敷のことが好きなんだから
さぞかし喜ぶだろうと思ったら、
「お断りよ!誰かに仕えるなんて
冗談じゃないわ」と、鼻で笑いながら答えます。
女中をしている伯母さんの前で
暴言です。
そう、彼女の妄想では自分には
貴族の血が流れているため
誰かに仕えるなんてとんでもない話。
あくまで私は
みんなにかしずかれる存在でなくては!!そんなエンジェルの執念と妄想がいっぱい詰まった
「レディ・イレニア」という本。
なんと
リサーチなしで想像だけで書き上げているために
シャンパンを栓抜きで開ける、とかおかしなところもあります。
やんわりと「シャンパンに栓抜きは使いませんから直しましょうか」
と提案する発行人に向かって
「私は
単語ひとつ、コンマひとつ変えません。それではごきげんよう」と、言い放ち立ち去るエンジェル。
間違った自信もここまでくると
潔い!!きっと考えるより先に言葉が出てしまう
ナチュラルボーン見栄っ張りな性格なのでしょうね~。
さすがに「これで私の作品が本になる夢も終わったか、、、」と
帰りの電車を待ちながら涙するエンジェルでしたが、
そこへなんと発行人が彼女を追いかけてきたのです!!
「危険を承知でこのまま出版しましょう」
という発行人に、泣いてたことなんか素振りも見せずに
「当然ね」という顔で答えるエンジェル。
無知で嘘つきで傲慢だけど、なんとも魅力的なヒロインです。
そんなヒロイン、エンジェルを演じたのは
ロモーラ・ガライ。地味だけどなかなかの美貌の持ち主で、妄想の中に生きる
エンジェルという役を好演。
晩年の憑かれたような表情が鬼気迫ってました。
エンジェルが俗物だと知りながらも彼女の本が売れることを
察知して出版する発行人役に
サム・ニール。彼もまた、エンジェルの不思議な魅力に魅了された一人です。
その発行人の妻に
シャーロット・ランプリング。オゾン映画の常連さんですねー。
教養のある女性で、エンジェルの小説はとるにたらないと思っています。
それから成功したエンジェルとその小説を崇拝する
詩人のノラ・ハウ=ネヴィンソン役に
ルーシー・ラッセル。彼女はエンジェルを崇拝するあまり彼女の個人秘書となって
一生彼女と生活を共にすることになります。
ノラの弟で、売れない画家のエスメ役に
ミヒャエル・ファスベンダー。初めて会ったエンジェルが息を飲むほどの美男役ですが
……そこまで美男かなー?とちょっと疑問。
この役がジュード・ロウぐらいハンサムだったら
もうちょっと納得がいくんだけど。
まあとにかく一目あったその日からエンジェルは彼の虜になり
誰も評価しない彼のくらーい絵を高額で買い取ったり
自分の自画像を描いてもらったりしたあげくに
まさかの逆プロポーズ!!彼女がそこまで彼に固執した理由はなんだったのか。
そこそこ
いいとこのおぼっちゃんで美男で芸術家。貴族である自分
(違うって)と釣り合うという打算もあるけど
やっぱり一目惚れだったのかなーと思います。
富と名声と愛と、一気にすべてを手に入れたエンジェル。
ここまで来るともはや
何が妄想で何が現実かわからなくなってきます。
嘘だってずっと言い続けたら本当になるんだから!
ずっとそうやって生きてきたのです。
でも小説家ってあらためて
すごい職業だなーと思いました。
想像だけでそれだけの世界や話を書けるエンジェルは
やっぱり才能あったんだと思います。
きっと文章は大げさで古めかしくて
お話はベタベタに甘くてあからさまで
でもそんなところが一般の夢見る女性達にも
一時的にウケたのではないのかなー。
発行人の妻のシャーロット・ランプリングが
エンジェルに対して言う言葉がすべてを物語ってます。
「彼女の小説は認めないけど、彼女自身はたいした女性だわ」そう、たいした女性なんです!本当に。
だって
夢を全部叶えちゃうんですから!!彼女の快進撃に息をとめて見入っていると
後半
意外な出会いが彼女を待ち受けています。
彼女の夢と妄想で出来た虚構の世界が壊れる瞬間です。
びっくりしました!!なるほどーそうきますか。。
この映画、原作はエリザベス・テイラーさん(同姓同名)です。
あまりにも話が面白いので、ぜひ小説も読みたいと思いました。
この嫌われ者のとんでもヒロインいいですねー。
オゾン作品なのにあんまりオゾンっぽさはありませんが
彼もこのヒロインが気に入ってぜひ映画化したいと思ったのだとか。
納得です!!♪夢を追いかける~ならたやすく泣いちゃだ~めさ♪星みっつ!(★★★)
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